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美濃観音寺山古墳出土品[みのかんのんじやまこふんしゅつどひん]
分類 | 重要文化財 |
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指定別 | 県 |
所在地 | 美濃市生櫛88番地24(美濃市役所分庁舎) |
所有者 | 美濃市 |
指定年月日 | 平成25年11月1日 |
方格規矩四神鏡
重圏文鏡
玉類
写真提供:美濃市教育委員会
美濃観音寺山古墳は、長良川右岸の標高155mの観音寺山山頂に築かれた、弥生時代末から古墳時代初頭に築造されたと考えられる前方後方形の古墳(墳丘墓)で、全長20.5m、後方部長13.5m、くびれ部幅10mを測る。埋葬主体部は、全長4.1m、幅約1m、深さ約0.8mの墓壙内に組合式木棺を置いたと考えられる。
方格規矩四神鏡は径23.6cm、中国からの舶載品で、意図的に割られた破砕鏡である。鏡面を被葬者に向け、被葬者の頭部を挟むように左右に配置した状態で出土した。銘文には「王氏昭竟・・多賀新家人民息・・」とあり、王もうが(草かんむりに犬に廾)建国した「新」(西暦8〜23年)の官営工房で製作された、いわゆる王もう(草かんむりに犬に廾)鏡である。外区文様帯には、流雲文、櫛歯文が施され、内区の外圏には銘帯を有し、銘帯内側に規矩文、連弧文坐乳が配置され、その間を青龍・朱雀・白虎・玄武の四神、日月像、一角長尾獣、鹿、鳳等が埋める。方格内には円座十二乳が、その間に十二支銘が配置される。紐座は四葉座である。重圏文鏡は径9.5cmで、ほう(にんべんに方)製鏡と考えられる。鏡面を上にして二点の方格規矩四神鏡片に挟まれた状態で出土した。外縁は平縁で、重圏内に綾杉文、櫛歯文が施され、獣を模したと考えられる乳が四個配される。乳の間には不明の文様が配置される。勾玉は翡翠製で、埋葬主体部の頭部左側に埋納されたと推定される。水晶小玉はいずれも算盤玉形である。ガラス小玉は、埋葬遺体付近に埋納されていた可能性が高い。
美濃観音寺山古墳出土品は、古墳が築造された弥生時代末から古墳時代初頭における、古墳副葬品の全容を知ることができる好例である。