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岐阜県カワウ管理・被害対策指針(令和5年1月)
カワウはここ30年の間に全国的に生息数が増加しています。岐阜県内でも平成13年4月に初めて集団繁殖地(コロニー)が確認されて以来、生息域が内陸部へ拡大し続けたため、その食害により本県の内水面漁業は深刻な影響を受けています。
このような中で、平成27年12月15日に「清流長良川の鮎」が世界農業遺産(GIAHS)に認定され、鮎資源の保全・活用や、持続的な農林水産業の振興としてカワウ対策の取り組みがGIAHSアクションプランにも明記されました。
また、平成27年9月の国連サミットでは、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」が全会一致で採択され、令和12年に向けて、全ての人々が豊かで平和に暮らし続けられる社会を目指し、「持続可能な開発目標(SDGs)」が掲げられました。漁業に関連する目標には、「14 持続可能な開発のために海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する」とあり、鮎をはじめとした河川における水産資源の保全・利用についても同様に取り組む必要があります。
本県では、平成16年7月にカワウによる漁業被害の軽減並びに野生鳥獣と人との共存を図るための「カワウ食害対策指針」を策定しました。その後、カワウの分布、行動圏、季節変動がより詳細に明らかになり、中部近畿カワウ広域協議会が設立されるなど「カワウ食害対策指針」において残されていた課題であるカワウの個体群動態、国及び他都道府県との連携等について、解決に必要な知見の集積や体制整備が進んだことから、平成28年3月に「岐阜県カワウ被害対策指針」を策定しました。
今回、「岐阜県カワウ被害対策指針」の策定から6年が経過し、カワウの生息状況や被害対策の担い手となる漁業関係者の体制が変化する一方、新たな対策手法も生み出されてきたことから、有識者、漁業関係者、ダム管理者、河川管理者からなる「岐阜県カワウ被害対策指針検討会」での検討を基に、県内のカワウの現状と最新の知見を踏まえて新たな対策手法の導入並びに関係者間の連携体制を見直しました。そして、カワウの生息状況調査、飛来地における捕獲や被害防除、コロニーにおける捕獲といった、持続可能な水産漁業の振興を目的とした総合的な管理を行うための「岐阜県カワウ管理・被害対策指針」を策定しました。
本指針によりカワウ被害対策の有効性が向上することで、漁業被害軽減に寄与することが期待されます。