本文
知事記者会見(平成29年2月15日)
平成29年2月15日(水曜日)午後2時00分
知事 |
まず資料1「I平成29年度当初予算編成」から入ります。予算全体の枠組みのお話を申し上げて、それから政策的にポイントになるところを申し上げて、その上で、機構改革と言いますか組織の見直し、これも政策に沿ったものでありますが、ご説明させていただくという流れでいきたいと思っております。個々のアイテムについてのさらに色々なご質問があろうかと思いますが、各部単位でまた(説明が)ございますので、疑問があればどんどんぶつけていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。 その次に、どういう政策的な柱立てになっているかということでございまして、A3の「II平成29年度当初予算『清流の国ぎふ』づくりの全開」と見出しの資料があると思いますが、これをご覧になりながらあとに出てくる資料もざっと眺めながら聞いていただければと思います。 組織の方ですが、「資料III参考資料1平成29年度当初予算の柱立てと組織の見直し」と「資料III参考資料2」を見比べながら見ていただくといいのですが。まず、資料III参考資料1を見ていただきますと、左側に今見ていただいた予算の政策の柱立て、これに見合って組織のどこを見直すかと言うのが右側に書いてあります。一番下の欄に全体の概要がありますが、部の数は変わりませんが、局として県民文化局を環境生活部に置こうということで、1部内局が増えます。課・室・事務局ということでいうと、5増3減ということで、特に文化伝承課、伝統文化を中心に守り伝えるべきものをここで対応しようという新しい課を考えております。産業人材課がまさに人づくりの大きな柱になるわけであります。それから、海外戦略推進課、観光国際局を国内向けの政策と海外戦略と大きく2つに分けて再整理しようということで、そういう中で出てきた課であります。逆に、国際課、観光誘客課が減少になっているということでございます。それから、課内室、これはまだ課にするにはそれだけのボリュームはないのですが、一定のプロジェクトに専念してもらって、ある程度独立して、一定期間頑張ってもらうという塊を課内室ということで、特に「『清流の国ぎふ』づくりの全開」の中で、必要な部分に置こうということで7増2減になっておりまして、国民健康保険はまさに県が、経営を担うということであるものですから、1つ置いておりますし、障がい者就労支援も重要な柱ですし、関ケ原の環境整備も大きな塊でありますし、飛騨牛について相当キャンペーンをやってきましたが、いよいよ本格的な肉用牛の振興ということで、牛を育て、流通経路に乗せるということで、国内外きちんとした戦略的な販売輸出体制を作っていこうということでございます。100年の森づくり推進室は、「100年の森林づくり計画」を作って、県内の森を再配置しようと、そういう雄大な構想でありますが、これを担う部署になるわけですし、木育推進室は、「森の恵みのおもちゃ美術館(仮称)」と言っていますが、岐阜県ならではの木で作ったお子さん用のおもちゃの美術館というか、博物館というかそういったものを今の図書館、美術館のエリアに作ろうとしておりまして、それを担当する部署ということであります。空き家対策もこれは移住定住の上で大変重要なテーマでありますので、1つ設けたということであります。一方、県庁舎建設室は、減になっておりますが、課に昇格するということで、いよいよ県庁舎建設も本格化するということで課にあげようと思います。海外戦略推進室も課に格上げして、インターナショナルな観光戦略はここで一括してやってもらおうということでございます。県民生活相談センターは減のところに書いてあって、一番下が増になっていますが、相談という実務は現地機関という格好でやってもらって、県民生活課の中で企画立案をやってもらうということで、企画と相談実務をわけようということでございます。図書館、博物館、高山陣屋、文化財保護センターは教育委員会から約100人の異動も含めて、知事部局の方にまわってくるということでございます。これを、県庁のどこの組織のどこにくっついているかというのは、「資料III参考資料2」を見ていただくといいと思いますが、部ごとに簡単に申し上げます。総務部、ここに県庁舎建設担当の次長を置いて、次長の下に県庁舎建設課がつくということでございます。次長1名、県庁舎建設課15名という16名体制でやっていこうと。真ん中に改革推進監というのがありますが、県庁の色んな仕事の棚卸と言いますか、見直し作業をこれからやっていきますので、それに必要な推進監という管理職を置きます。清流の国推進部は、東京オリンピック・パラリンピック県産木材利用促進対策監とレクリエーション・健康づくり推進監の2つの管理職ポストを片や東京事務所、片や地域スポーツ課に置くということで、オリ・パラ絡みでございます。環境生活部の方は、少し再整理をしまして、県民生活相談センターが現地機関になって、県民生活課が地域の人材支援と合わせて生活相談の企画面を担当するということであります。その横にくっついております、県民文化局に局長がおり、文化創造課については、文化振興課をリシャッフルして、新しい美術展を始めとする積極的な未来志向の文化政策をやってもらおうと。文化伝承課については、美術館、現代陶芸美術館、図書館、博物館等々こういった施設を指揮監督すると同時に、県の今ある文化の保存・伝承そういったことをやってもらおうということで、これは教育委員会に社会教育文化課というのがありますが、それを廃止してこちらに文化伝承課ということでございます。100人ほど教育委員会から移ってくることになります。健康福祉部は、一番下に地域福祉国保課というのがありましたが、これが2つに分かれて、国民健康保険の経営を担う部署として真ん中よりちょっと上にあります、国民健康保険室というのを医療整備課の中に置くのと、地域福祉そのものについては、地域福祉課ということで、単独で残るということでございます。商工労働部は、新たに産業人材担当の次長と航空宇宙博物館担当の次長を置くということでございます。特に航空宇宙博物館担当の次長は各務原市に駐在するということで、博物館を本格的なものとするということで、しっかりと運営に携わってもらうということでございます。障がい者の就労支援ということで、「岐阜県障がい者総合就労支援センター(仮称)」を開設することにしており、それを指導するのが、労働雇用課に置く障がい者就労支援室ということであります。「中小企業総合人材確保センター(仮称)」という、総合的に中小企業の人材確保のために支援する組織を作ろうということで、担当する産業人材課と産業人材担当の次長が組んで、産業面での人材確保のための政策を展開していくということになります。下の方に、珍しい名前なのですが、土産物開発監という名前がわかりやすいのか、どういうふうなのかわかりませんが、関ケ原古戦場とか、かかみがはら航空宇宙科学博物館とか新しい観光資源の開発をするわけですが、やはりその場所にちなんだグッズとかお土産とかロゴマークとかそういったことも並行してやっていきませんと、来ても買うものがないと、土産がないということでは、もう1つ盛り上がりませんので、これを横断的にやる部署を地域産業課の中に管理職つきで置いてみようということでございます。農政部は、既に人材育成は担い手対策室がありますので、これはこれとして走らせて、1つは家畜防疫対策監とありますが、これはまさに鳥インフルエンザの反省にたって、いざ起こったときには、この対策監が現場で指揮をとるということにしておりまして、本庁で交通整理をする管理職と現場で指揮をする管理職と2人必要であるというのが、この間の反省でありましたので、こういう対策監を置こうというものでございます。肉用牛振興室は、先ほど申し上げましたような繁殖センターを整備するとか、海外向けの食肉処理体制の整備でありますとか、和牛共進会対策でありますとか、まさに文字通り肉用牛の振興ということであります。林政部が随分たくさんあるように見えるのですが、1つは森の恵みの美術館関連で木育推進担当次長を置くと、それから木育推進室を置くということで、このプロジェクトをやってもらおうと思います。それから東京オリンピック・パラリンピックに向けた県産材利用の推進、いわばリーダーとして次長級の東京オリンピック・パラリンピック県産木材利用促進総括監を置こうと、その下に県産材流通課の下にありますが、東京オリンピック・パラリンピック県産木材利用促進対策監ということで、その組織が下につくということでございます。それとは別に100年の森づくり推進室が、先ほど申し上げましたような100年先を睨んだ、岐阜県の大胆な森林配置計画作りをやってもらおうということでございます。空き家対策は、都市建築部の住宅課の中に置こうということでございます。 |
---|---|
記者 |
確認ですが、予算の命名としては「『清流の国ぎふ』づくりの全開」予算ということでよろしいですか。 |
知事 | その通りです。 |
記者 | 「清流の国ぎふ」のイメージは、具体的に何なんだろうということは、今までいろいろと使われてきたと思いますが、今回の予算書で「清流の国ぎふ」って何と聞かれたときに、ここを見てくれというのはどこですか。 |
知事 | 「清流の国ぎふ」とは何ぞやというのは、「清流の国ぎふ憲章」に全て書ききってあります。どういう思いで岐阜県を「清流の国」というのか、何を志すのかということは、そこに書ききってあるので、そちらをまず見てください。そういう清流の国を作っていくうえで、今何が課題かと言えば、1つの柱は人手不足で、そのために手を打っていく。清流といってもその地域ごとに上流・中流・下流もあり、森のエリアもあり、地場産業のエリアもあり、色んな場面がありますので、それぞれの地域ごとの魅力づくりをやっていくというのが、2つ目の柱です。当然、清流の国、川というのは恵みであるのと同時に歴史的には川との戦いもあるわけです。そういう意味では、安全・安心という、かつてで言えば、治水ということになるのでしょうが、広い意味で言えば様々な災害とか生活の不安とかそういったものを安全・安心の方向に持っていくための政策ということで、3つの柱の整理をしましたということです。 |
記者 | 私が拝見する限り、PR、知名度アップみたいな、外に発信していこうというところが、今年度までと大きく違うのかなと思ったのですが。より魅力発信というところに思いを表現されているのかなとお見受けしたのですが。 |
知事 | 人口減少というのは、我々の日常の中で感じとれるようになってきたと思います。ですから、まさに魅力がなければ人はそこに住みませんし、そこにやって来ませんし、その地域の活力も生まれてこないわけなので、そういう意味での魅力をどんどん出していくというか、そういう意味では、岐阜県はどちらかというと穏やかなところですから、もっともっとアグレッシブに出していったらいいのではないかという思いがあるのは間違いないですね。特に、ここ数年世界遺産でありますとか、岐阜県の食材とか岐阜県のモノづくりとか、そういったものを世界に突き抜けていこうということで、海外に発信をしてきたわけで、それがかなりの手応えを、皆さん感じてきておられるのではないかと、積極的に出て行こうということでございます。その出ていくことを通じて、さらに魅力を発信し、多くの人に岐阜においでいただくなり、岐阜に住んでいただくという方向に持っていこうと、攻めの姿勢が少しずつできつつあるんじゃないかと、そういう流れを「清流の国」というスローガンのもとにどんどん背中を押していこうと、そんな思いがありますから、そういう印象が強いのは、まさにそういう問題意識の表れだと思います。 |
記者 | 臨時財政対策債、公債費、そのあたりについて、現状の意識、どのようにお考えですか。 |
知事 | 臨時財政対策債は、あくまでも臨時の措置で、少しの間(各自治体で)借りておいて、後で(国が)ちゃんと手当をするからと、こぢんまりとスタートしたわけですが、それが大きなウエイトを占めるに至ってきている。残高で言えば、岐阜県だけで6,000億円まできているわけですから、これをオールジャパンで数えたらどういうことになりますか、ということですよね。臨時財政対策債の発行額の縮減でありますとか、償還財源を確実に国として、未来に亘ってきちんと確保していただきたいという話とか、それだけ構造的に不足分が出るとすれば、そもそも地方交付税の法定率を含めて、地方の税のあり方、財源の在り方を見直すべきではないかということは、ずっと知事会としても申し上げておりますし、国との様々な意見交換の場でも申し上げておりますので、臨時財政対策債とはいえ、借金であることは変わりませんし、県の公債費も連動するわけですので、まさに臨時の対策債という本来の趣旨に立ち返っていただきたいという思いは強いですね。そうでないと、いくら我々の分は減らしても、その分が膨れ上がることによって、トータルとしての残高がどんどん右肩上がりで増えていくということになりますので、そこはやはり臨時対策債らしい対応ということは申し上げたいと思っております。 |
記者 | 選挙ですとか、鳥インフルエンザの中での予算編成は大変だったと思います。今回の予算に対する自己採点や、良かった点、悪かった点は。 |
知事 | この時期の予算編成というのは、行財政改革を通じて相当シビアな時期を通り越して、財政そのものは立ち直ってきつつあるというか、そういう中ですから、立ち直ってきただけにその分を、より県の政策に沿った格好でメリハリをつけて用意していくという面と、それがまた安易に流れて、来た道を行ってはいけないということでの慎重さと両方あると思います。この2つを考えながら、バランスをとってどう判断していくかということだと思いますけれども、結果としてはほぼ横ばいと言いますか、微増ということではありますけれども、内容的にそれなりの積極性の見られる予算になったのではないかと思っております。ただ、これでこれから先々を考えますと、社会保障費は構造的に増えていきますし、県庁の建て替えもありますし、安全・安心にも絡むわけですが、非常に脆弱なインフラを修復していくという作業も膨大なものが残っていますし、高度成長期にできた公共施設1つ1つを見直しながら、進んでいくということもありますし、色んな財政事情が待ち構えておりますので、まだまだ油断できない状態が続くんだろうなと思います。そういう意味でメリハリをつけながら、油断なくやるということで、今回の予算も県民の皆さんに理解をしていただいて、その中での我々なりの精一杯の積極性を出させていただいているという思いであります。点数は、何をもって何点というかは難しいですけれどね。ただ、今ちょうど手がけはじめた魅力づくりについては、しっかりと完結させるということで必要な予算は振り分けておりますので、そういったことについては、ご評価いただけるとありがたいと思っております。 |
記者 | 予算編成にあたり、選挙を経て県民から聞いてきた意見を反映したいというようなお話もされていたと思いますが、具体的にどんなお話を聞いてきて今回の予算に反映させたのですか。 |
知事 | 最大のものは、人手不足ですね。これは、あらゆる分野で皆様感じておられるということでありますので、今回の予算も産業1つとっても中小企業対策から始まって、観光、農業、水産業、林業、建設業とありますし、コミュニティの人材でありますとか、福祉人材とかですね、あちらこちらに言葉が散りばめられておりますが、とにかく人が足りない、どういうふうに育てたらいいのか、あるいは若い人が県外に出て行ってしまうのをどう呼び戻したらいいのかと。(事業の詳細)説明は明日以降聞いていただくと思いますが、昨年4月に、大学を県外で卒業して(岐阜県へ)戻ってきて、5年以上働いてもらえるのであれば返還免除という奨学金を出したのですが、非常に好評でいい制度であるということで、今回対象を看護学校とか専門学校的な必要なところにも一旦県外で学んで岐阜県に戻ってきてもらえるなら、同じような施策を出してもいいじゃないかということで拡充したり、色んな分野で人材に目配りしました。それから、鳥インフルエンザはどこへ行っても関心の的で、明日は我が身という感じでした。場所によっては、もっと大きなことが起こったらどうするのかと、今以上にさらに盤石の上にも盤石な体制を作るべきだという議論もありました。やはり地域ごとに色んな魅力づくりの努力をしておられるわけですが、例えば東濃で行けばリニアをどう活かすかということで、リニアの見える丘公園をどう作っていくかとか、あるいは既存の岩村城跡とか地域にある魅力とリニアとどうつないでいくかとか、そういう魅力づくりですね。養老へ行けば養老改元1300年祭だと、この養老という財産と(東海環状自動車道)西回りと、関ケ原と、例えばユネスコ無形文化遺産の大垣祭とかですね、養老鉄道の魅力づくりとか、色んなものとどのように、それぞれの地域の魅力づくりをあちらこちらで世界遺産の声を聞いたり、あるいは各務原の博物館なり、関ケ原の再生という話を聞いたりする中で、自分たちの足元のこの地域資源を見直していこうと、そういうものに対して県としても手を差し伸べてほしいということはかなりたくさんありました。その分野では当然、きめ細かに応援できるような支援策を用意させていただいております。 |
記者 | 選挙期間中、色んな自民党の議員の方々や応援にいらした首長さん方から、投票率の話になったときに、投票率がおそらく知事の予算編成の部屋に貼られるみたいな話も冗談めかして言う方がありましたけれども、今回選挙で応援してもらった団体さんだとか、予算編成される上で、実際に知事に影響というか、頭に入っていたことは何かあるのでしょうか。 |
知事 | 仰ったような数字を机の上に置いておくとか、壁に貼っておくとかはやったことがないのですが、それよりも、それぞれの地域での問題意識ですね、あるいはどういうことにお困りになっておられるかとか、そういったことを、特定の方というよりは、今回わりと屋根の下でゆっくり話をするという部分も取り入れましたので、色んな方から色んな意見をいただいています。そういう問題意識を、他の地域にもあるだろう共通の問題もあれば、その地域固有の問題もあれば、まだ顕在化していないのではないかなと、今からどう予防的にやっていくのかというものありますけれども、問題意識として私自身は受け止めさせていただいて、限られた予算の中でのメリハリの中で、できるだけ手は打っていくと、そんなことでしょうかね。 |