本文
岐阜県の日本遺産
文化庁では、地域の歴史的魅力や特色を通じて我が国の文化・伝統を語るストーリーを「日本遺産(Japan Heritage)」として認定し、ストーリーを語る上で不可欠な魅力ある有形・無形の様々な文化財群を総合的に活用する取組を支援しています。現在、岐阜県では4つの日本遺産が認定されています。ここでは、日本遺産の概要及び県内にある日本遺産についてご紹介します。
日本遺産について
日本遺産とは、地域の歴史的魅力や特色を通じて我が国の文化・伝統を語るストーリーを、文化庁が遺産として認定するものです。
地域が主体となって、ストーリーを構成する文化財を整備・活用し、戦略的に発信することにより、地域の活性化を図ることを目的としています。
世界遺産登録や文化財指定が遺産・文化財の価値付けと保護を目的としているのに対し、日本遺産は地域に点在する遺産を「面」として活用・発信することで、地域活性化を図ることを目的としています。
日本遺産に認定されると、認定地域の認知度が高まるとともに、日本遺産を通じた様々な取組を行うことで、地域住民のアイデンティティの再確認や地域のブランド化等にも貢献し、地方創生に資するものとなると考えられます。
「日本遺産」として認定されたストーリーは、次の3点を踏まえた内容となっています。
(1)歴史的経緯や地域の風習に根ざし、世代を超えて受け継がれている伝承、風習などを踏まえたものであること。
(2)ストーリーの中核には、地域の魅力として発信する明確なテーマを設定の上、建造物や遺跡・名勝地、祭りなど、地域に根ざして継承・保存がなされている文化財にまつわるものを据えること。
(3)単に地域の歴史や文化財の価値を解説するだけのものになっていないこと。
高山陣屋跡 玄関
高山陣屋跡 御蔵
「信長公のおもてなし」が息づく戦国城下町・岐阜
[岐阜市] 平成27年(2015年)認定
戦国時代、岐阜城を拠点に天下統一を目指した織田信長。彼は戦いを進める一方、城内に「地上の楽園」と称される宮殿を建設、軍事施設である城に「魅せる」という独創性を加え、城下一帯を最高のおもてなし空間としてまとめあげる。自然景観を活かした城内外の眺望や長良川での鵜飼観覧による接待。冷徹なイメージを覆すような信長のおもてなしは、宣教師ルイス・フロイスら世界の賓客をも魅了した。信長が形作った城・町・川文化は城としての役割を終えた後も受け継がれ、現在の岐阜の町に息づいている。
○関連HP
日本遺産 「信長公のおもてなし」が息づく戦国城下町・岐阜
http://www.nobunaga-kyokan.jp/gifu.japan-heritage/<外部リンク>
鵜飼観覧事務所
http://www.ukai-gifucity.jp/ukai/ <外部リンク>
岐阜観光コンベンション協会―岐阜市漫遊
http://www.gifucvb.or.jp/<外部リンク>
○関連文化財写真
岐阜城跡
長良川の鵜飼漁の技術
岐阜大仏
飛騨匠の技・こころ―木とともに、今に引き継ぐ1300年―
[高山市] 平成28年(2016年)認定
「飛騨工(ひだのたくみ)制度」は古代に木工技術者を都に送ることで税に充てる全国唯一の制度で、飛騨の豊かな自然に育まれた「木を活かす」技術や感性と、実直な気質は古代から現代まで受け継がれ、高山の文化の基礎になっている。
市内には中世の社寺建築群や近世・近代の大工一門の作品群、伝統工芸など、現在もさまざまなところで飛騨匠の技とこころに触れることができる。これは私たちが木とともに生きてきた1300年の高山の歴史を体感する物語である。
○関連HP
高山市日本遺産HP
http://nihonisan-hidanotakumi.jp/index.html<外部リンク>
○関連文化財写真
飛騨国分寺の大イチョウ
安国寺経蔵
日下部家住宅
1300年つづく日本の終活の旅 ~西国三十三所観音巡礼~
[揖斐川町] 令和元年(2019年)認定
究極の終活とは、ただ死に向かって人生の整理をすることではない。人生を通して、いかに充実した心の生活を送れるかを考えることが、日本人にとっての究極の終活である。そして、それを達成できるのが西国三十三所観音巡礼である。
日本人は海外の人から『COOL!』だと言われる。そのように評価されるのは、優しさ、心遣い、勤勉さといった日本人の本来の心であり、実はそれは日本人が親しんできた「観音さん」の教えそのものである。観音を巡り日本人本来の豊かな心で生きるきっかけとなる旅、それが西国三十三所観音巡礼なのだ。
※構成自治体(◎印は代表自治体)
揖斐川町
滋賀県(◎大津市、長浜市、近江八幡市)
京都府(宇治市、京都市、亀岡市、宮津市、舞鶴市)
大阪府(和泉市、藤井寺市、茨木市、箕面市)
兵庫県(宝塚市、加東市、加西市、姫路市)
奈良県(高取町、明日香村、桜井市、奈良市)
和歌山県(那智勝浦町、和歌山市、紀の川市)
○関連HP
https://jh-saikoku33.jp/<外部リンク>
○関連文化財写真
谷汲山華厳寺
木曽路はすべて山の中 ~山を守り 山に生きる~
[中津川市] 令和2年(2020年)認定
戦国時代が終わり新たな町づくりがすすめられると、城郭・社寺建築の木材需要の急増は全国的な森林乱伐をもたらした。森林資源が地域の経済を支えていた木曽谷も、江戸時代初期に森林資源の枯渇という危機に陥る。所管する尾張藩は、禁伐を主体とする森林保護政策に乗り出し、木曽谷の人々は、新たな地場産業にくらしの活路を見出した。
そして江戸時代後期、木曽漆器などの特産品は、折しも街道整備が進み、増大した御嶽登拝の人々などによって、宿場から木曽路を巡り全国に広められた。
江戸時代、全国に木曽の名を高めた木曽檜や木曽馬、木曽漆器などの伝統工芸品は、今も木曽谷に息づく木曽の代名詞である。
※構成自治体(◎印は代表自治体)
中津川市
長野県(◎南木曽町、大桑村、上松町、木曽町、木祖村、王滝村、塩尻市)
○関連文化財写真
島崎藤村宅(馬籠宿本陣)跡
島崎藤村宅(馬籠宿本陣)跡