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蓮台阿字[れんだいあじ](大野町)
分類 | 重要文化財 |
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指定別 | 県 |
所在地 | 揖斐郡大野町稲富 |
所有者 | 来振寺 |
指定年月日 | 昭和35年3月30日 |
来振寺伝来、蓮台阿字の描写技術は精巧で筆致、色彩とも極めて典麗であり、図様は厳粛で整い、美しい。真言宗寺院の祭壇に掛けて礼拝したものと推察される。県内では他に見られない貴重な作品である。寺伝によれば作者は、興教大師とされている。
阿字功徳鈔の説くところによれば「阿字をへに明に観ずれば、六根の諸の垢清浄となる、六根無垢なるが故に心性も清浄なり、あたかも清水と月輪の如し、一切の無明煩悩を除かずということなし、もし心の中に乱念起らん時は必ず阿字を観ずべし、この阿字はこれ字の母なり、十万三世の諸仏の諸説なり、十万三世の諸仏の諸説皆この字の体に非ずということなし、わずかに念ずる人は一切の聖教経論を講ずるに同じ、乃至鉄石にもこの字を観念すれば能く動きて金銀ともなり候なり」とある。真言密教において、阿字は修法上最も重要な象徴であり、貴重な存在である。