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絹本著色弘法大師像[けんぽんちゃくしょく・こうぼうだいしぞう](郡上市)
分類 | 重要文化財 |
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指定別 | 県 |
所在地 | 郡上市白鳥町長滝中切 |
所有者 | 阿名院 |
指定年月日 | 平成15年9月19日 |
四脚床机の上に向かって左方を向く弘法大師(空海)を描く。焦茶の衣の上に茶の袈裟を着け、右手は胸前で逆手にして五鈷杵を握り、左手は数珠を取る。床机の下には沓が横向きに置かれ、右傍らに浄瓶が置かれる。肉身は白色、目は茶で瞳は濃い墨で塗り、口唇は淡い朱でぼかし、衣・袈裟の衣文は濃墨線でかきおこし、墨隈を施す。五鈷杵は金泥のほり塗りとし、数珠は白玉に朱の細線を通して表す。床机の打敷には白の五弁花を散らし、縁には茶色に緑青の?文をめぐらす。弘法大師像は椅子式牀座に坐すものが一般的には多く、本図のように四脚床机の高座に坐す画像は東寺本(国重要文化財)などが知られるに過ぎず、貴重な作例である。制作年代は、室町時代前期とみられ、描写も精細で優れた作品である。